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第3回 勤怠管理 – 2

ICカード対応のタイムレコーダーを利用した勤怠管理コラム ブラック企業にならないための勤怠管理!(前編)

近年は、過重労働や違法労働によって労働者を使いつぶす「ブラック企業」が問題になっています。
このような中、企業運営においては、労働者の勤務時間や働き方を管理することがますます重要になってきています。
そこで、本コラムでは、6回にわたって、あなたの企業にとって最適な「勤怠管理」について解説を行います。
3回目の今回は、「ブラック企業にならないための勤怠管理!(前編)」です。

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ブラック企業にならないための勤怠管理!(前編)

「ブラック企業なんて、よほど極端なことをしている企業のことで、うちは関係ない」と他人事のように思っていませんか?「多少の長時間残業やサービス残業はどこの企業にもよくあることで、それくらいでブラック企業と呼ばれたくない。いや、それでブラック企業なら日本の企業にブラックでない企業などない」そんなふうに思っていませんか?しかし、そんな考え方で、昔ながらの手作業の勤怠管理を行っていると、ブラック企業として、いつ摘発されるかわからない時代です。

【ブラック企業と疑われない勤怠管理がいま重視される理由】
もうルーズで「なあなあ」の勤怠管理は許されない!

2013年6月、アベノミクス第三の矢として発表された「日本再興戦略」で、「若者の活躍推進」策のひとつとして、過重労働や賃金不払残業(いわゆるサービス残業)など若者の「使い捨て」が疑われる、いわゆるブラック企業について、相談体制、情報発信、監督指導等の対応策を強化することを示しました。

それを受けて、2013年9月に厚生労働省が行ったのが、「ブラック企業」5,111事業場の調査です。その結果、82%に当たる4,189事業場で、時間外労働や賃金不払い残業、過重労働による健康障害防止措置の不備などの労働基準関係法令違反を見つけ、是正に向けた指導を行いました。そして法違反を是正しない事業場については、企業名等を公表しての送検も視野に入れており、今後とも、引き続き、監督指導をしっかり行うと宣言しています。

意識的にブラックなことをしていなくても、労働法について正しい知識を持たずにルーズな勤怠管理を行っていれば、いつ、労働基準法指導を受けることになるかわかりません。ひとたびブラック企業のレッテルが貼られれば、優秀な人材を集めることは難しくなり、取引先からの信頼も失いかねません。正しい知識に基づいた適切な勤怠管理がいま求められています。

【適正な勤怠管理のために知っておきたいポイント】
わかっているつもり…が危ない!

労働基準法を隅々まで理解して、きっちりと守った勤怠管理を行っているでしょうか?
なんとなく知っているつもり、わかっているつもりでいませんか?曖昧なままにしておくと、ブラック企業になったり、逆に余計な人件費を支払うことになったり…正しい知識を持って適正な勤怠管理をすることにより、適正な人件費で適正な労務管理を行うことができます。

1. 勤怠管理上、「所定労働時間」と「法定労働時間」はどこがちがう!?

勤怠管理をなんのために行っていますか? 労働時間を把握して、残業代を計算することが勤怠管理の重要な目的のひとつです。そのためには「所定労働時間」と「法定労働時間」を正しく理解しておくことが欠かせません。 たとえば就業規則で、朝9時から、昼休み1時間をはさんで、夕方5時までを勤務時間、月曜日から金曜日までの5日間が勤務日と定めている場合、「所定労働時間」は1日7時間、週に35時間です。 「法定労働時間」は労働基準法で1日に8時間まで、週に40時間までと定められています。

2. 法定労働時間以内と以上ではちがう、残業代の計算

法定労働時間を超えなければ、就業規則次第で残業代を支払わなくても済みますが、支払う企業が一般的。法定労働時間を超える時間働かせた場合には、割増賃金を支払わなければなりませんが、所定労働時間が、法定労働時間より短い場合の残業代の計算は複雑で、勤怠管理を手作業で行っている場合、計算をまちがいがちです。 所定労働時間が1日7時間で、1日10時間働かせた場合には、残業3時間の内、最初の1時間は所定労働時間を超えていますが、法定労働時間は超えていません。従って、割増賃金を支払わなくて済みます。従業員の時給、月給制なら「月給÷月の所定労働時間」で計算した金額をそのまま支払います。しかし残業3時間の内の残り2時間は、割増賃金、通常、25%増しの金額を支払わなければなりません。 法定労働時間以内の残業代に割増をつけていたら払い過ぎですし、法定労働時間を超えた分の割増を忘れると労働基準法違反です。複雑な計算を自動化できる勤怠管理システムを使えば、払い過ぎることもブラック企業になることも防ぐことができます。

3. 法定労働時間を超える残業が深夜労働だった場合の残業代は?

労働基準法では、1カ月の合計が60時間までの時間外労働および深夜労働(午後10時から午前5時まで)については、通常の労働時間の賃金の25%以上割増と定められています。では時間外労働が深夜に及んだ場合の割増はご存知でしょうか?2つの割増を合計して、50%以上の割増で支払わなければなりません。たとえば所定労働時間が朝9時から昼休み1時間をはさんで午後6時までの8時間で、深夜0時まで働かせた場合の残業代を考えてみます。午後6時から午後10時までは通常の時間外労働ですので、25%割増賃金です。午後10時から深夜0時までは時間外労働、かつ深夜労働なので、50%割増賃金を支払う必要があります。 昔ながらの勤怠管理で、単純に労働時間だけを見ていると、必要な割増賃金を支払わないブラック企業になってしまいます。勤怠管理システムで労働の時間だけでなく、時刻までしっかりと把握することが求められます。

今回は残業代の割増計算を中心に解説いたしました。次回は、賃金不払い残業や過重労働を防止する勤怠管理のポイントについて解説していきます。

掲載日:2015年3月30日

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